信託及び信託銀行について知っておきましょう!

信託と信託銀行の初歩的な知識

信託と信託銀行について

そもそも信託とはどういうものかを知っておきましょう!

 

 

信託とは、あなたの大切な財産を信頼できる人に託し、あなたの大切な人やあなた自身のために管理・運用してもらう制度です。

 

難しそうな印象があるかもしれませんが、実はその仕組みはとてもシンプルなんです。

 

信託の特徴 4つ

 

1 信託の目的は、あなたが自由に決めることができます。
2 金銭以外の財産も信託することができます。
3 信託した財産は、受託者が安全に管理します。
4 税金を軽減することができる信託があります。

 

 

1 信託の目的

 

信託目的は、委託者(あなた)が自由に決めることができます。

 

信託目的の一例

・ お子さまやお孫さまの教育費を支援するため
・ お子さまやお孫さまの結婚・出産に関する費用を支援するため
・ ご自分が亡くなった後の配偶者やお子様への財産の承継・管理のため
・ 公益活動や社会貢献のため
・ 障がいをお持ちの方や、後見制度により支援を受けている方の財産の管理のため
・ 企業で働く従業員の退職後の年金給付
・ 効率的な資産の運用

 

2 金銭以外の財産を信託する

 

信託では、金銭的価値のあるものであれば何でも信託することができます。
具体的には、信託する際の個々の契約で決めることになりますが、例えば現在、次のような財産が信託されています。

 

信託できる財産の一例

・ 金銭
・ 株式・債券等の有価証券
・ 土地・建物(不動産)
・ 金銭債権

 

3 信託した財産を受託者が安全に管理するとは?

 

委託者は、自身が所有する財産を信託しますが、信託するとその財産の所有権は受託者に移ります。
法律では、受託者は「信託された財産を、受託者自身の財産や他の人から信託された財産とは分別して管理しなければいけない」と定められています。
このように、信託された財産は、委託者の財産からも、受託者自身の財産や他の人から信託された財産からも独立している状態になり、信託が持つ機能の一つである「倒産隔離機能」がはたらくことになります。

 

信託された財産を管理・運用する受託者の責任は重大であり、受託者には分割して管理する義務のほかにも、さまざまな厳しい義務が「信託法」という法律により課せられています。

 

加えて、信託を営業として取り扱う信託銀行や信託会社には「信託業法」や「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」(兼営法)という法律による義務も課せられています。信託銀行等は、個人や企業の財産管理、運用などの豊富な知識と経験を有する専門家集団です。このような厳格なルールと専門性によって、信託財産は安全に管理されているのです。

 

※ 倒産隔離機能が働くとはどういうことなのか?

信託された財産は、名義は受託者のものとなりますが、実質的には受益者のものとして管理された状態となります。委託者のものでも、受託者のものでもなく、独立した状態にあるので、万が一委託者や受託者が破産しても、信託された財産は影響を受けません。例えば委託者が破産した場合には、受託者にお金を貸した人(債権者)が信託財産を差し押さえようとしても、それは実質的には受益者のものであるため、差し押さえることはできないと法律で定められています。

 

4 税金を軽減することができる信託とは?

 

例えばお子さま・お孫さまの教育資金や結婚・子育てに関する費用の援助、障がいを持つご家族の財産管理などを目的とする信託については、贈与税が一定の金額まで非課税になるなど、税制上の優遇措置があります。

 

税金を軽減することができる信託の一例

・ 特定贈与信託
・ 教育資金贈与信託
・ 結婚・子育て支援信託

 

信託をする前に知っておくべき知識3つ

 

1 信託は実績配当が原則

 

投資は、運用がうまくいけば利益を得られますが、逆に損失が出たり、資産が目減りすることもあります。

 

投資を行うときには、この点を理解して、自己責任で行う必要があります。

 

信託商品も同様です。

 

 

信託は「実績配当」が原則であり、信託財産によって生じる利益も損失も契約によって定められた受益者に帰属します。

 

財産の管理や運用を信託銀行等の専門家に委ねるとはいえ、利益が出ない、あるいは信託銀行に信託したお金が減ってしまう可能性もあるのです。

 

信託銀行等が提供している信託商品を利用する場合、こうしたリスクがあることを十分理解したうえで利用する必要があります。

 

2 元本補てん契約と預金保険

 

信託は実績配当を原則としていると説明しましたが、信託商品の中でも「金銭信託」と呼ばれる信託商品の一部には、信託銀行により「元本補てん契約」が付されています。

 

「元本補てん契約」とは、文字通り、信託した金銭(=元本)を信託銀行等が保証する契約です。

 

例えば、信託銀行に100万円を信託し、信託の終了時に1万円の欠損が生じ、元本が99万円に減っていたら、減ってしまった1万円を信託銀行が補てんするということを内容とする契約です。

 

現在、信託銀行で取り扱っている商品のうち、「合同運用指定金銭信託(一般口)」、「教育資金贈与信託」、「結婚・子育て支援信託」、「遺言代用信託」、「後見制度支援信託」などに「元本補てん契約」が付されています。
※但し、信託銀行によって異なりますので、ご注意ください。

 

また、元本が保証されている信託商品は、「預金保険制度」の対象になり、万が一、金銭を信託した信託銀行が破たんした場合にも、預金保険機構により、1,000万円までは保護されるようになっています。

 

つまり、元本補てん契約のついた金銭信託は、運用の結果元本に欠損が出ても、信託銀行がその差額部分を補てんします。

 

万が一、信託銀行が破たんして差額部分の補てんができない場合でも、預金保険機構により1,000万円まで保証されます。

 

信託した場合の税金

 

皆さんの中には、「信託を使うと税金が安くなるのではないか」といった疑問をお持ちの方がいるかも知れません。答えはイエスでもありノーでもあります。

 

例えば、贈与税。あなたが、家族などの大切な人にお金を贈与した場合、一定額を超えると、贈与を受けた人に対して贈与税がかかります。

 

信託を使った場合も同じです。

 

あなたがお金を信託して、家族などの大切な人を受益者に指定して、そのお金を受益者に渡した場合、受益者には贈与税が課税されます。

 

「教育資金贈与信託」、「結婚・子育て支援信託」、「特定贈与信託」などの一部の信託商品は、贈与税が一定の限度額まで非課税になるという特例が認められているものです。

 

つまり、「教育資金贈与信託」や「特定贈与信託」などの贈与税の非課税の特例がある一部の信託商品を除いて、信託を利用したからといって税金がかからない、あるいは、税金が安くなるといったことはありません。

 

信託銀行とは?

 

多くの方は一般の銀行と信託銀行の違いを的確に説明できません。

 

皆さんご存じの通り、普通の銀行は預金、貸付、為替などの「銀行業務」を行っていますが、信託銀行は、普通の銀行が行っている「銀行業務」に加えて、「信託業務」と「併営業務」を行っています。

 

信託銀行も普通の銀行も、「銀行法」という法律に基づいて設立されます。
銀行が「信託業務」と「併営業務」を営むためには、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)」により、認可を得る必要があります。
信託銀行は銀行業務を行うための厳しい規制・監督に加えて、「信託業務」を行うためのさまざまな規制・監督も受けて営業をしているのです。

 

信託銀行と主な業務

 

信託銀行の業務について少し知っておきましょう!

 

1 銀行業務

 

個人や法人からお金を預かる「預金業務」や企業などに融資する「貸付業務」、振込による送金など口座間のお金の移動を行う「為替業務」などがあります。

 

2 信託業務

 

信託業務とは、個人や企業から信託を引き受け、信託財産を予め定められた目的にしたがって受益者のために管理・運用する業務をいいます。
信託業務の中で、具体的にどのような商品があるのかということについては、「信託商品」として信託協会メインサイトにて紹介していますので合わせてご覧ください。
信託では、お金だけでなく、株式などの有価証券、不動産、金銭債権など、金銭的価値のあるものであればなんでも信託することができるので、いろいろな種類の信託があります。

 

3 併営業務

 

遺言書の保管や遺言執行業務などの相続関連業務、企業の株主の名簿を管理する業務などの証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などがあります。
この併営業務は信託銀行等の信託兼営金融機関にのみ認められている業務です。

 

 

以上、信託と信託銀行について少し触れてみました。

 

そんなこと知っているよ〜!と云う方もおられると思いますし、そういうことだったんやね〜!と云う方もおられると思います。

 

「信託」と云う意味が、あなたにとってお役に立てれば幸いです。

 

 

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